• 【死】— 終わりという"門出"
    ヒマラヤの風景は、私たちに「生」の輝きを教えると同時に、常に「死」の気配を感じさせてくれます。 風雪に耐え何百年も生き続けた巨木がある朝、静かに倒れている姿。可憐な高山植物が短い夏を精一杯に咲き誇り、最初の霜と共に、潔く土へと還っていく姿。そして、この地で生きる人々は、死を特別な悲劇としてではなく、人生というサイクルのごく自然な一部として静かに受け入れています。 私たちの多くにとって「死」は、人生最大の謎であり、最大の恐怖です。それは、すべての終わり。愛するものとの永遠の別れ。そして、自分という存在が、完全に「無」に帰してしまうということ。私たちは、その得体の知れない暗闇から無意識に目を背け、できるだけ考えないようにして毎日を生きています。...
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  • おもてなしの心から受け取る叡智
    【第一幕】日本の情景:言葉なく満ちる、縁側の番茶 夏の日差しが少し傾き、庭の木々が長い影を落とす午後。縁側に腰掛けてぼんやりと空を眺めていると、隣に住むおばあさんが、何も言わずに湯気の立つ湯呑みをそっと置いてくれる。そんな記憶はありませんか。 湯呑みから立ち上るのは、香ばしい番茶の香り。そこには「よかったらどうぞ」という言葉さえありません。ただ、お盆を持つ指先の丁寧な動きと、湯呑みの温かさ、そして優しい眼差しだけが、すべてを物語っています。 それは、豪華な茶菓子があるわけでも、気の利いた会話があるわけでもない、ごくささやかな時間。しかし、その静寂の中には、言葉にならないほどの深い「もてなし」の心が満ちています。...
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  • 浄化の調べ — 場を清める聖なる水
    【第一幕】日本の情景:土の香りが立つ、祖母の打ち水 日本の夏、うだるような暑さが和らぐ夕暮れ時。私の記憶の中には、縁側でしゃがみ、ひしゃくで玄関先に水を撒く祖母の姿が焼き付いています。 じゅわっ、と音を立てて乾いたアスファルトが水を吸い込み、もわりと立ち上る土の香り。それは単に涼をとるための、昔ながらの知恵ではありませんでした。 「きれいにしておけば、お客さんも気持ちがいいし、神様も寄り道してくださるかもしれないからね」 祖母はそう言って、静かに微笑んでいました。 その行為は、目に見えるゴミを掃き清めるのとは少し違います。場の「気」を清め、空気を浄化する。そして、「あなたを歓迎していますよ」という、言葉にならないもてなしの心を形にする、ささやかで美しい儀式でした。...
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  • 自己を忘れる — 「私」という思い込みを手放す旅
    ーA Drop of Truth .1ー 【東の風から】今から八百年ほど昔、鎌倉時代の日本。厳しい修行の果てに一人の禅僧が、深い悟りの境地に至りました。彼の名は、道元。日本に禅の教えを広めた偉大な師の一人です。 悟りを開いた道元が師匠である如浄禅師にそのことを報告すると、師は静かにこう言いました。「お前は、身も心も、すべてが抜け落ちたのだな(身心脱落)」 すると道元は、確信を込めてこう答えたと言います。「脱落、身心」と。 この二つの間に、どんな違いがあるのでしょうか。そこには、「私が」悟ったのだ、という最後の自負さえも抜け落ちた、あまりに純粋で、空っぽな境地が広がっています。 道元は後に、この悟りの核心を旅人のための道しるべのようにこう書き記しました。...
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